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最高裁判所第二小法廷 昭和23年(れ)1998号 判決 1949年5月21日

主文

本件各上告を棄却する。

理由

被告人高橋、越智、高瀬の辯護人河西善太郎の上告趣意第四點について。

所論被害物件は、愛媛縣宇摩郡食肉組合代表者宮崎進の保管していたものであることは、原判決の確定するところである。所論刑法第二四四條親族相盗に關する規定は、窃盗罪の直接被害者たる占有者と犯人との關係についていうものであって、所論のごとくその物件の所有權者と犯人との關係について規定したものではないのであるから、原審が右組合に關して、それが法人格を有するか否かを明らかにせず、従って、右物件の所有權關係については、單に「組合所有」とのみ判示して、その所有權の歸屬者を明らかにしなかったとしても、所論のごとき違法ありとすることはできない。また、右物件の保管者宮崎進と被告人等との間には、親族關係の存在を疑わしめるような事情は少しもあらわれていないのであるから、原審が公判において、この點について審訊をしなかったからといって、所論のごとき違法ありとはいえない。(昭和二三年(れ)第九九二號、同年一二月二七日大法廷判決参照)論旨は理由がない。

被告人櫛部、高瀬の辯護人宮城実の上告趣意第八點について。

少年法第六四條の適用については、原審は公判において、相當の調査をしていることが公判調書上窺い知ることができる(昭和二二年(れ)第三一三號、同二三年四月一七日第二小法廷判決参照)。また、同法第六八條、第六九條は少年の刑事々件を取扱う者に對する訓示的の規定と解すべきあり、同法第六七條の違反については、別途にその救濟の手段を採るべきであって、如上、所論のごとき手續上の瑕疵は結局原判決に影響を及ばさないものというの外なく、原判決を破毀すべき理由とするに足りない。

(その他の判決理由は省略する。)

よって、刑訴施行法第二條、舊刑訴法第四四六條に從い主文のごとく判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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